2017-05-05

雑誌「つるとはな」が伝える人生を刻むキレイなシワに憧れる話。

つるとはな

近頃、雑誌って読みますか?
私はほとんど読みませんが、時々手に取って開く数少ない雑誌のひとつに、「つるとはな」があります。

「つるとはな」は、人生の先輩たちや若くから信念ある生き方をする人たちの『今』を伝え、暮れゆく人生への不安を憧れに変えてくれるような、そんな雑誌。元マガジンハウスの「ku:nel(クウネル)」初代編集長の岡戸絹枝さんが、編集長を務め、2014年に創刊されました。2017年5月段階で4号目。8~9ヶ月ごとに刊行されている、時間縛りがゆるいところも、個人的に購買意欲をかきたてられます。

「あっ、出たんだ。じゃぁ、買っておこうかな」という感じで。

アートディレクターも、初代「クウネル」を手がけていた有山達也さんが担当されているようで、飾らずに情報の存在感が伝わってくる雰囲気は、初代クウネルっぽさが色濃く感じられるのが、個人的には嬉しく思ったりしています。

何を血肉として大人になっただろう?

童謡絵本goodbye

「つるとはな」は、江國香織姉妹の誌面があるのも個人的には大いにそそられる部分。(江國香織さんの作品に登場する、独自の自立を貫く主人公に憧れているので)
【第3号】の江國香織姉妹の特集は、「大人になっても、童謡は私たちの血肉になっている」というテーマ。
童謡絵本とは、大きな文字で書かれた童謡と菓子の雰囲気をそのまま写した絵本。コーナーでは、江國姉妹が幼少期に親しんだ童謡絵本を紹介し、当時の思い出が語られているのですが、おとなになった今のふたりが選ぶ「心の童謡ベスト1」が「グットバイ」が選ばれていたのがおもしろいな、と思いました。歌詞の意味が深い、と。

部屋で姉妹が絵本を見ながら童謡を歌う姿に微笑ましいイメージとして浮かびあがりますが、きっと、そういう体験を重ねて、作家江國香織さんと編集者の晴子さんの想像力の基礎ができあがったんですね。

で、考えるのは、「自分は何を血肉にして大人になったのだろう?」ってこと。
あなたは、何を血肉にして大人になったの?
記憶にたずねてみると、まずは、幼稚園の七夕のお泊り会で織姫様と彦星様が年に一度天の川で出会うお話をしてもらったこと。これは、幼い心に強烈なロマンチックマインドを刻みつけ、大人になった今でも、神話とわかっていても潜在的にはそのステキな逢瀬を応援してる自分がいます。

小学生、中学生は、ジャパニーズポップスの歌詞。
松本隆さんの映像が思い浮かぶようなフレーズは憧れでしたし、吉元由美さんのロマンチックなフレーズにはうっとりさせられました。そう、そういえば、ずっと作詞家になろう、って思ってたんですね。

あなたは、今のあなたは何で創られていますか?何を血肉として育ちましたか?

何を頼りに生きていく?

【第3号】の「この本が読みたい」というコーナーで紹介されていた、故佐野洋子さんのエッセイ「神も仏もありませぬ」の記事にも目がとまりました。

佐野洋子さんは、「100万回生きたねこ」などの傑作で既に有名ですが、2017年現在、NHK「ヨーコさんの“言葉”」という絵本の読み聞かせスタイルの5分番組では、「ヨーコさん」の胸がすくような言葉で、元気と勇気がわいてくるメッセージでお馴染みですね。

ヨーコさんの言葉についてはこちらから>>

2度の結婚、2度の離婚。2度目の結婚相手は詩人の谷川俊太郎さんでしたね。作品を創作する者どうしいろいろあったのでしょうか。7年間夫婦生活を終えています。

記事紹介文の中、

ヨーコさんは神も仏にも頼らず、この世の闇と混沌を破るある啓示の言葉は痛快でかつ感動的だ。ヨーコさんはそれを胸い、宿命と和解し、きっとフネのように死んだのであろう。(フネはヨーコさんの凛々しい飼い猫でした)

あぁ、こんな風に、なれたらいいなぁ、と思える文章です。
「神も仏もありませぬ」の紹介記事から、佐野さんの生き方に憧れる。
こんな体験ができる雑誌は、本当に久しぶりです。

求人広告

Call求人広告

【第3号】の巻末。ミナ ペルホネン が「Call」というお店を出すに当たり、求人をしたのですが、その求人広告が、裏表紙まで記事になっていて、皆川さん自らの(追記文字入りの)直筆の広告だったのは、ワクワクしました。
「Callで一緒に働いてみませんか?」
万年筆で書かれたきっちりした優しい文字。

既に1年以上前の求人ですが、これを見るたびに、応募したくなります。いつか、応募してしまうかも。「あの、つるとはなを見たのですが」と。

雑誌の役割ってこういうこと

雑誌の一つの特集が、過去を振り返ったり、未来のイメージを作ったり。
そんな時間は、やっぱり至福。
傍から見たら地味な絵でも、当人にとっては華やか遊びに興じることができているんですね。

普遍的な美しさはいきざま。流れゆく変化の景色にはいちいち驚かないでいられる強さ。

そんなことを思い出させてくれる、「つるとはな」は、憧れの暮らしの姿勢を思い出させてくれる、そんな雑誌。本棚で背表紙を眺めているだけで、何か、安心の気持ちを呼んできてくれます。

十分に、大人のボンボンです。

ちなみに、「つる」と「はな」はスタッフのおばあちゃんの名前なのだとか。そういうのって、とても楽しい。

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